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日本においては、水破産の影響はないのでしょうか。
日本における水事情を調べてみましょう。
国交省の「令和7年版日本の水資源の現況」によると、日本の年間降水量は約1,668mmで、世界平均(約814mm)の約2倍になります。しかし、国土が狭く人口密度が高いため、一人当たりの降水量に換算すると約5,000㎥/人・年となり、世界平均(約14,000㎥/人・年)の三分の一にとどまります。
また、日本の降水は梅雨と台風に大きく依存しています。早い梅雨明けや台風の減少が起きるとダム貯水量が急減します。日本国内の水不足は気候変動の影響を受けやすいと言えます。
しかし、日本は『水の輸入大国』という一面を持っています。ここで鍵になるのがバーチャルウォーター(仮想水)です。バーチャルウォーターとは、輸入する食品や製品などの生産・製造過程で使われた水も輸入しているとみなす考え方です。
日本が国内で農業・生活・工業に使う水は、年間約770億㎥です。一方、食料輸入に含まれるバーチャルウォーターは、2005年時点で年間約800億㎥と推計されており、国内使用量とほぼ同規模になります。つまり日本は国内で使う分とほぼ同量の水を海外から輸入していることになります。
例えば、牛肉1キロを生産するには、約20,000リットルの水が必要で、これには単に牛が飲むだけでなく、餌になる穀物の生産に必要な水も含まれています。
統計でみると私たちが家庭で直接使う水の量はそれほど多くはありません。
日本人1人が生活で使う水は1日あたり約282リットルで飲み水や風呂、洗濯などを含めてこの量になります。
しかし、バーチャルウォーターの存在を考えると、食料の生産には家庭で直接使う水の何十倍もの水が必要になることがあります。つまり、知らず知らずのうちに私たちは食べ物を通じて大量の水を輸入し、消費していることになります。
食料自給率が約40%の日本において、「何を食べるか」は、「どこの水を使うか」という選択でもあります。外国産ではなく、国産を選ぶ。肉の回数を少し減らしてみる。水を「無限にある資源」として扱わない意識はやがて政策や企業の行動を変える力にもなり得るかもしれません。
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